防音室付き賃貸の注意点とは?楽器相談可や防音マンションとの違いを徹底解説
「防音室付き」「楽器可」「防音マンション」の違い
楽器可物件とは
「楽器可」とは、文字通り「楽器を演奏することが可能」な物件のことです。ほとんどの物件サイトでは「楽器可」または「楽器相談可」となっています。
ただし、「楽器可の物件は防音設備が整っている」というわけではなく、防音設備としては通常物件と同じだけど楽器OKという場合も多いです。
「周りに迷惑がかからない程度であれば楽器を弾いてもいいよ」=「楽器可物件」という認識でいましょう。
防音室付き物件とは
防音室付き物件は「防音専用の部屋」がある物件のこと。
かなり数が少なく、試しに『物件情報サイトSUUMO(スーモ)』で東京都杉並区の防音室付き賃貸マンションを検索しても全体で18件しかヒットしません。
(2021年10月に検索。全体は70,080件で、全体のわずか0.02%)
防音室付き賃貸物件は本当に希少で、他の希望要件と合わせるのは非常に難しいことは覚えておきましょう。
防音マンションとは
防音マンションは防音対策が施されたマンションのこと。
主に鉄筋コンクリート造(RC造またはSRC造)でできたマンションで、比較的築年数が浅い物件に多いです。
ただし、防音設備が整っている=楽器可ではないので、楽器が弾けるかどうかは大家さんに確認する必要があります。
防音室付き賃貸物件の探し方
防音室付き賃貸物件は近年需要があがっていて、空きが少なく探すのは非常に困難になっています。
コロナ禍でテレワークが普及したことで、防音室付きの賃貸物件の需要が急上昇。
需要に対し、物件数が圧倒的に少ないので、基本は空き待ちになるんだとか。
防音室を設備として取り入れるためには余分な資金が必要のため、希望するエリア内で見つからない場合もあります。
防音性の高い物件を探すコツを詳しく解説していきます。
築浅物件を選ぶ
築15年以内くらいの築浅であれば防音対策がそれなりにしっかりしている物件が多いです。
築浅物件ほど造りがしっかりしているので、防音性が高いです。一つの指標としてスラブ厚を参考にしましょう。
スラブとは、鉄筋コンクリート製の厚い床板のこと。現在、建築基準法でマンションなどの集合住宅では、遮音性の観点からスラブの厚みを20cm以上にするのが標準とされています。一般的に、スラブが厚いほど床への振動が少なくなるので、遮音性が高いです。
このスラブの厚みが築年数によって違います。1990年代では約15cmだったのが、2000年には18〜20cmが標準、2010年には20cm以上が標準となりました。
築10年以内であれば、より防音性が高い!
鉄筋コンクリート造を選ぶ
建物自体が木造や鉄骨造だと、防音室があっても音が響く可能性があります。
対して、RC造とSRC造であれば音漏れしにくい構造なので、できる限りRC造かSRC造の物件を選ぶようにしましょう。
しかし、RC造と謳っていながら、壁がコンクリ―トではない物件も!
見分ける方法は簡単。内見の時に、壁を軽く叩いてみてください。パチンパチンと、中身が詰まった重い音がするのがコンクリート。コンコン、と空洞に音が響くのは木や、それに代わる素材です。
防音性能が高いRC造とSRC造を選び、内見時に壁を軽く叩いて確認しましょう!
家賃の予算を上げる
基本的に家賃がその地区の相場より高い物件は設備が整っている傾向が高く、防音性能が高いことが多いです。
ただし「家賃が高い=防音性が高い」ではありません!
セキュリティ、見た目の豪華さにお金がかかっているケースもあります。
例えば、通風や採光を重視した窓が大きい間取りのタワーマンション。家賃高めで設備も充実してそうですが、防音性重視で考えると選択肢から外すべきです。(窓が大きいと遮音性下がる)
あくまで条件設定として「家賃の予算」を上げてみましょう
「分譲賃貸」物件を探す
『分譲賃貸物件』はハイグレードなことが多く、作りがしっかりしている物件が多いです。
『分譲賃貸』とは、分譲マンションとして購入された物件が
- 投資目的
- 転勤で引っ越し
などといった理由で賃貸として出されている物件をいいます。
こういった分譲物件は生涯を通して住み続けることを前提に建設されているので居住性能が高く、比例して防音性能も高めになっていることが多いです。
RC造やSRC造で建設されている物件が多く、防音力が高いことに期待できます。
分譲賃貸は優良であることから、物件数が少ないので、掲載されてたら即チェック!
「楽器相談可」物件を探す
先ほどお伝えしたとおり、楽器相談可の物件は必ずしも防音設備が整っている物件というわけではありません。
ただ、全く防音がされていない楽器相談可の物件は珍しいので、防音設備が整った物件を探す際は「楽器相談可」の物件は選択肢に入れておくと良いでしょう。
防音室付き賃貸物件の注意点
「やっぱり安心できる防音室付き賃貸に住みたい!」という方が多いと思います。
ここからは、防音室付き賃貸物件の注意点をお伝えしていきます。
防音室付き物件の注意点を把握した上で、とにかくたくさんの物件情報を内覧して、利用条件まで確認した上で物件を選びましょう!
防音と言っても強さは様々
防音といっても強さは様々です。
物件の防音性能のレベルは次のような「遮音等級」で表します。
遮音等級の下2桁の数字が大きいほど防音性能が高いことを示しています。防音室レベルならD-75またはD-95となります。
防音室付きでも、等級が低ければ音が漏れる可能性があるので、どれだけ大きな音を出してもOKというわけではないので注意!
ドラムやトランペットなどの特殊な楽器ならD-80(またはそれ以上)の遮音等級を備えた物件を選ぶといいです。
D-80等のハイグレードな防音マンションはかなりレアなので、見かけたらすぐに不動産屋さんに相談してみると◎
建物の利用規約を守る
防音室付きや防音設備が整っているからと言って、「大きい音を出しまくってOK」というわけではありません。
特に楽器相談可の物件は利用に関して制限が設けられていることがあります。
例えば
- 楽器の演奏は22時まで
- 演奏できる楽器はピアノとギターのみ
など物件によってルールはさまざまです。
事前にどんな利用をする予定なのか伝えておくとトラブル回避になります。
ルールにはなくても、他の住人に迷惑になる行為は慎みましょう。
換気しないと空気がこもる
防音室は音が漏れないように二重窓や二重扉などで部屋を密閉しています。その反面、気密性が高く空気が通りにくい特徴もあります。
適切に換気しないと、室内が湿気臭くなったりカビの原因になることも…。
防音性能と同じくらい、換気機能が整っているかどうかも確認しましょう。
防音性・断熱性が高いということ。トレードオフ!
家賃が高め
木造や軽量鉄骨と比較すると家賃が高い。
一節によれば防音室が付いているだけで、約3万円近く賃料が高くなるというデータもあるくらい。
”どの程度の防音が必要なのか”によっては「ミドルグレードの物件+自作防音設備という選択肢にしたほうが結果的に安い」みたいなこともあり得ます。
楽器の種類や使用頻度を考えて、防音室が必要ない場合は通常の楽器可物件も検討しましょう。
楽器が設置できるかは別問題
「楽器OK」の物件であっても、グランドピアノのような大型楽器の設置には許可が必要な場合がほとんどです。
内見時に”大型楽器が搬入可能””過去に搬入したことがある”等々を不動産業者に確認しましょう。
また、サイズや重量によっては「搬入できるか」問題もあります。同時に、搬入できそうかの確認もとっておくと良いでしょう。
楽器可物件は必ずしも防音室付きではない
何度も繰り返しますが、楽器可能物件には防音設備が整っていない場合もあります。
楽器を弾いている人が周りに多いからOKという基準でつけられているケースも珍しくありません。
「楽器可能物件だから大丈夫」と勘違いをして、深夜にも構わず大きな音を出したりしているとご近所トラブルになってしまう可能性もあるので注意しましょう。
壁だけでなく窓ガラスにも注意する
RC造等、建物の構造で防音機能があったとしても、窓ガラスが防音になっていない場合は意味がありません。
例えば窓のD値はだいたい”-20程度”なので、RC構造の壁から比べると1/3程度の防音効果しかない。
窓に二重サッシや複層ガラスが使われていない場合、窓から音が漏れる&音が入ってくる可能性があります
内見をする際は壁だけでなく、窓にも注目しましょう!
▶窓ガラスの防音性能についてもっと詳しく知る
防音室がない場合の防音対策
「気に入った防音室付き賃貸物件が見つからなかった・・・」普通のお部屋でできる防音対策方法をお伝えします。
家具を設置する
家具があると音が分散され、内見時の空っぽの部屋よりも防音性はいくらか高くなります。
お隣さん側の壁に家具を置いて遮音性を高めましょう。
例えば、棚に多くのものを収納しておけば、さらに効果が高まります。
家具があると音が分散されるから、内見時の空っぽの部屋よりも防音性はいくらか高くなる!
防音対策グッズで対策する
木造だったとしても防音対策グッズである程度対策は可能です。どうしても防音室付き物件が見つけられない場合、防音対策グッズで対策しましょう。
お部屋を傷つけずにできる防音対策として
- 壁:遮音シートや防音パネルを貼る
- 床:カーペットやジョイントマットを敷く
- 窓:防音カーテンを吊るす
- 家具の配置を変える
など、木造物件だとしてもできることがたくさんあります!
防音リフォームをする
本当に防音したいと悩まれているのであれば「リフォーム」が最も効果的。
ただし、賃貸物件の場合は必ずオーナーさんの許可を取る必要があるため、勝手にリフォームを行わないように注意してください。
二重窓の設置など一見有益なリフォームであっても、大家さんの許可なく行うとトラブルの元となります。
勝手にリフォームをしてしまうと後々「修繕費用」等がかかってしまう場合があります
防音室付き物件を探すなら必ず用途をチェック♪
防音室付き物件を探す際のポイントをまとめました。
大声を出しても楽器を演奏してもOKな物件は非常に珍しいので、本当に住みたいのであれば即内見することをおすすめします。